福祉法人や医療法人では、利用者の快適性や介助のしやすさを考慮した福祉車両・介護車両の選定が求められます。法人向けの車両は、個人向けとは異なり、複数名の利用を想定する必要があるため、選び方のポイントも異なります。
福祉車両・介護車両の主な種類
福祉車両・介護車両には、利用者の身体状況や用途に応じてさまざまなタイプがあります。法人向けの場合、送迎の頻度や人数、介助の負担などを考慮し、最適な車両を選ぶことが重要です。
1. シート回転・昇降タイプ
- 助手席や2列目シートが回転・昇降し、乗り降りがしやすい
- 利用者が自力で移動できる場合に適している
- 乗車スペースが一般車と変わらず、車両サイズの制限が少ない
- 送迎者の介助負担を軽減しつつ、利用者の自立支援につながる
法人向けのポイント
- 施設や病院で自立歩行が可能な高齢者の送迎に適している
- 通院やデイサービス利用者の送迎車両として使いやすい
2. 車いすのまま乗り込めるタイプ(スロープ・リフト付き)
- 車いすのまま乗車できるため、移動の手間を省ける
- リフトやスロープを使って乗降できるため、介助者の負担を軽減できる
- 大人数の送迎が必要な場合は、リフト付きワゴンタイプが適している
法人向けのポイント
- 車いす利用者が多い介護施設や障がい者施設の送迎に適している
- 大型ワゴンタイプなら、複数名を同時に送迎できる
メーカー製と改造車の違い
福祉車両には、大手自動車メーカーが製造する「メーカー製福祉車両」と、既存の車両を改造して福祉仕様にした「改造福祉車両」があります。
メーカー製福祉車両のメリット・デメリット
メリット
- メーカー保証があり、耐久性が高い
- 介助機能が標準装備されているため、使いやすい
デメリット
- 車種が限られるため、用途に合う車が見つからない場合がある
- 中古市場での価値が低くなることがある
改造福祉車両のメリット・デメリット
メリット
- 既存の車両を改造できるため、自由に車種を選べる
- 必要な機能だけを追加できるため、コストを抑えられる
デメリット
- 改造費用がかかる
- メーカー保証が適用されない場合がある
法人向けの選び方のポイント
- 長期間運用する場合はメーカー製が安心
- 既存の社用車を有効活用する場合は改造も検討できる
法人向け福祉車両選びのポイント
1. 送迎する利用者の人数と身体状況を把握する
法人向け福祉車両は、送迎する利用者の特徴や人数に応じて選ぶことが基本です。
- 個別送迎が多い施設 → 小型のシート回転・昇降タイプが便利
- 車いす利用者が多い施設 → スロープ・リフト付き車両が適している
- 集団送迎が必要な施設 → 大型ワゴンタイプで複数名を同時に乗せられる
2. 介助者の負担を考慮する
介助のしやすさは、法人向け車両選定の重要なポイントです。
- スロープタイプ → 車いすのまま乗車でき、介助の負担が少ない
- リフト付きタイプ → 高齢者施設などで、体力のない利用者が多い場合に最適
3. 予算と運用コストを考慮する
法人で導入する場合、車両の初期費用や維持費も考慮する必要があります。
- 新車リース → 初期費用を抑えながら、最新機能の車両を導入できる
- 中古車購入 → コストを抑えつつ、機能面を重視したい場合に適している
福祉法人・医療法人向けの導入事例
ケース1:高齢者向けデイサービス
状況:車いす利用者が増え、送迎の負担が大きくなった
導入車両:リフト付きワゴンタイプ
メリット:車いすのまま乗車できるため、送迎時間を短縮できた
ケース2:障がい者支援施設
状況:利用者の半数以上が車いす利用者で、一般車両では対応が難しい
導入車両:スロープ付きミニバン+リフト付き大型ワゴンの2台体制
メリット:施設の送迎ニーズに応じて使い分けが可能になった
福祉法人・医療法人における福祉車両・介護車両の選定は、利用者の安全性、快適性、介助者の負担軽減を考慮しながら、適切な車両を選ぶことが重要です。送迎する人数や介助のしやすさ、導入コストを考慮し、最適な車両を選んでください。